特集【1】アルバム「最後の竜が愛したこの世界の断片」誕生秘話


【インタビュー記事】 元気なケルト風のインスト曲から始まり、色とりどりの異世界の風景を切り取ったようなボーカロイド楽曲が目白押しのアルバム、「最後の竜が愛したこの世界の断片」。――2014年4月末に頒布が開始されたこのアルバムを作り上げたのは、White Sorcery Label の音楽担当Ayano(メディックP)とイラスト担当の天龍洸だ。今日は、メディックPことAyano氏に制作秘話を伺おう。

【収録曲】(CD版はミックスしなおし&リマスタリングしています)
【結月ゆかり(Yuzuki Yukari)】フルムーン・チャイルド【オリジナル】

1.はじめに ~ 異世界への憧れ

コツゴモリCRT: きょうは、ソロ・ファーストアルバム「最後の竜が愛したこの世界の断片」についてのお話を伺いたいと思います。聞き手は、White Sorcery Label いろいろ担当のコツゴモリCRTです。よろしくおねがいします。

Ayano: よろしくおねがいします。

コツゴモリCRT: では、まず。このアルバムのコンセプトを聞かせて下さい。

Ayano: モノとしては、このパッケージを手元にずっと置いておきたくなるような、時々はブックレットを読み返しながらゆっくり音楽を聴いてもらえるような、そういうファンアイテムみたいなものにしたいなと思ってました。今更CDにする意味があるとしたら、そういう部分かなと私は思うので。

コツゴモリCRT: 内容的には、どうなんでしょう? 「こういうものを表現したかった!」みたいなのとかってありますよね?

Ayano: はい。これは本当にまだ、誰にもほとんど言ったことのない、ほんとのほんとの秘話になりますけど、私の幼少期の憧れと決別したかったんです。そのために、表現したかったのは、その世界そのものですけど、このCDを作ってみても、まだ描ききれてないですね。

コツゴモリCRT: ほほぅ。それはまた。ところで、何に憧れてたんですか?

Ayano: うーん。それは、たとえば、近くて遠いお兄さんのことだったり、現実にはありえない魔物とかであったり、つまりいわゆる異世界であったりしますが、そういう意味でも、某ゲームがかなり私の中で重要な位置を占めていますね。タイトルはさし控えますが。小学校の卒業文集で将来の夢として「◯◯(そのゲームのタイトル)みたいなゲームを作りたい」なんて書いたほど、狂おしく大好きなゲームです。

コツゴモリCRT: そんなにまで(!)。タイトル知りたいです。

Ayano: 色々あるのでここではダメだと思います。オフレコなら。てか、文集でそんなこと書くとかフリーダムだし、ずいぶんイタイ子だとか思うよね。ま、イタイ子です。生まれながらのオタクですから。

コツゴモリCRT: まだ何も言ってないじゃないですか(笑)。話を戻しますが、どうして決別しないといけないと思ったんですか。

Ayano: ひたすら前に進みたいと思ったときに、邪魔をしてるのはそれらだと思ってたからです。

ずっとむかしから、あのゲームと出会ってからずーっと、私の中に湧いてくる魔物やヒーローや、それらを含む世界自体の幻想もだし、もっと限定的に言えば、あのゲームへの憧れが邪魔をする。その憧れだって幻想の一種ですよ。それらが過去を払拭したい私の邪魔してるんじゃないのかなって。それで決別したかった。

でも、結果的には決別するとかそういう話ではなかったんだなと思うようにはなったのですけどね。作り始める時はこういう気持ちでした。

コツゴモリCRT: なんかこう、戦ってたんですね。

Ayano: はい。すごいまとめ(笑)。でも、そういうことでしょうね。

2.音楽とものがたり ~ イメージの共有と解釈

コツゴモリCRT: さらに、どういうつもりで作ったのか伺いたいんですが、何かありませんか?

Ayano: あえてのCDというかパッケージというかたちなので、そこについて少し。

私は常々、楽曲や歌の内容の解釈を、作家側から押し付けたくはないと思っています。自由に解釈してもらえたらいいと思うし、みんな自然とそうしているからこそ、大事にしてくれるんだと思います。

でも。私の思いの核心だけでも正確に伝わってほしい、と思うこともあります。私は、「他人とイメージを共有しながら、個々人それぞれで自由に解釈してもらい、さらにイメージを膨らませてもらえる」そんなものが作りたいと思ってるのです。

そのためには、私がもっと正確に表現しないとね。でもこれは、論理ではなく感覚の話ですから、表現の匙加減も難しいなと思っていて。ぎちぎちに定義してしまうような表現ばかりでも苦しいしイヤだけど、でもある程度は固定した表現にしないと、わかってもらえない。

今回、ものがたりを付けたのは、「私はこういうイメージって思うし、それをわかってほしいのよ。でも、もし、解釈したり、もっとイメージするための情報が足りないのなら、OK,じゃあ情報追加します!」というかんじで。

CDなんて今更ね。というのもありますよ。だからこそ、この、ビジュアルや話などの追加情報とかが付記してあるブックレット(ジャケット)がすごく大事。あと、わたしは紙媒体が大好きなので。それで、音楽CDというパッケージをつくろうと思ったんですよ。

言ってること、わかってもらえますでしょうか(笑)。

コツゴモリCRT: なるほど。ちょっと難しい話もありますが、概ねわかりました。

Ayano: 説明が下手ですみません。でも、本当に、これは理屈のようで、感情の話ですよね。感情や感覚って、伝えるのが難しいなといつも思います。だから、あんまり語りたくないんですよ。

コツゴモリCRT: 今日はえらい語ってくれるじゃないですか(笑)。

Ayano: 自分とこのサークルのサイトに掲載する用でしょ? ほぼ遠慮しなくていいもん。

コツゴモリCRT: (笑)。ちょっと長くなったので、ここで一旦閉めますね。ありがとうございました。

Ayano: ありがとうございました。これを見てる方も、お疲れ様でした。

3.次回に続きます

【次回は】音楽自体についてなど、別の話も伺っているので、そのあたりを中心にお送りする予定です。それから、イラストの天龍洸さんにインタビューしてみたいと思っています。あと、ジェットブラック・アビスの特集も予定していますので、こちらもお楽しみに。

【質問募集中】ご意見・ご感想など、コメントお気軽にどうぞ! もし、こんなことを語ってほしいというリクエストがございましたら、コメントしてくださいね。このCDのこと以外でも構いません。次回以降で対応できると思います。

【文責・編集】コツゴモリCRT
【協力】Ayano(メディックP)

【関連リンク】
CD「最後の竜が愛したこの世界の断片」情報

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「最後の竜が愛した この世界の断片」
「ジェットブラック・アビス」

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コメント

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